アパートの耐震性は大丈夫?

まず、たてものの耐震性について、覚えておいてほしいことがあります。

それは「その建物がいつできたか?正確に言うと確認申請をいつ出したか?」

ということです。

建物の強度は、幾度となく起こった地震の経験から、少しづつ基準が強化されてきました。特に、1981年(昭和56年)の6月に改正された基準が現行の耐震基準に近い強度となります。

この年より前に建てられた建物は、現行の耐震基準を有しておらず、大きな地震、ごくまれ(数百年に一度発生する地震)に発生する地震に遭遇した場合倒壊する可能性が高いのです。反対に1981年以降に建てられた建物はこのような地震がきても倒壊することはまずありません。地震の大きさと建物の安全性[金箱構造設計事務所]

ですから、1981年という数字を是非覚えておくと良いと思います。

建物を借りるとき、不動産やさんが説明する重要事項説明の中で、建物の建築年を説明してもらいますが、どれだけの人が、その年が持つ重要性に気付いているのでしょうか? むしろ、外装や内装の新しさに目を奪われ、築年数の裏に隠されている脆弱な骨組みのことは意識しないのではないでしょうか?

熊本の地震では、1981年以前に建てられたアパートの外装と内装がきれいにリフォームされ、新築と見まごう仕上げとなっていました。そんなアパートが崩れ学生が3人も亡くなったのです。

大家さんの立場で考えてください。目に見えない構造にお金をかけるより、仕上げをきれいにし、WIFIを完備した方が、手っ取り早く、安く、入居者を引き付けることができるのです。投資効果が高いと考える大家さんが多いのが現実です。

これは、ある意味、殺人に近い行為だと思います。きれいな外見で人を惹きつけ、大きな地震で崩れ入居者が死んでしまう。まるで。食虫植物が、甘い蜜を出して獲物を引き寄せているような恐ろしい光景が、頭をよぎります。

「安い」「キレイ」「風情がある」という魅力の裏には危険が潜んでいることを知っておかなければなりません。特に、経験の少ない若い学生には、周りの大人が気づいて、危険なアパートには住まわせないよう気を付けたいものです。

かなや設計 環境建築家 金谷直政

全国賃貸住宅新聞に「京島ゆずテラス」掲載

全国賃貸住宅新聞に京島ゆずテラスを掲載していただきました。

今回は、地中熱と太陽光発電を組み合わせた冷暖房設備について詳しく記事にしていただいています。

私の年齢が66歳になっているのはご愛敬です(^-^;

YUZU terrace_press
全国賃貸住宅新聞2019年11月18日号

台風19号で気づいたこと

今年(2019)の10月12日、大型で「非常に強い」台風19号が、首都圏をはじめ広範囲を襲いました。

「今までの台風のなかでも最大限の注意が必要!」と、上陸の前からマスコミでも大きく取り上げられていました。この台風の約1か月前の9月9には、小型だが「強い」台風15号が、千葉を直撃ていて、大規模な停電や、壊れた屋根にブルーシートを張っている様子、ゴルフ練習場の鉄塔が住宅を破壊した映像などから、台風への脅威をいだいて、19号を迎えた。

つまり、十分に危機感を持って19号を迎えた稀なケースでした。

このような、心構えが十分だった、台風への対策だから、さぞ、問題なく対応ができたかというと、そう簡単ではありませんでした。もちろん、一概に台風といっても、風の強さ、雨の量、台風の大きさと速度による広域にわたる降雨量からくる川の氾濫の危険性など、想像はしますが、複合的に組み合わさることで、何に対して、どのように行動してよいのか、わからないものです。

特にこの台風19号は、大型で「非常に強い」台風であったため、川の氾濫、風による被害が心配でした。

私が住む町会でも、災害当日、避難勧告が出て、墨田区の防災無線が入り、近くの小学校が避難所として開設されたという防災無線が入りました。しかし、防災無線の声は、小さくて不明瞭なため、何を言っているか全くわからない状況。

町会の総務部長の判断により、町会の全戸を回り、避難所開設を呼びかけることになりました。急遽、LINEで町会のメンバーに呼びかけ、6人ほどで、全住戸を回りました。

町会費をもらっているかいないかに関わらず全ての住戸に声をかけることで、気づいたことがありましたので、記録のため、書いておこうと思います。

  1. 高齢者は、不安そうに避難したら良いのか否か聞いてきたが、避難したらよいか否かこちらもわからなかった。
  2. 歩くのが困難な高齢者は、あきらめたのか、呼びかけにも応じず、家にこもっていた。
  3. 表札もない家を訪ねると、民泊でした。中にはマレーシアの若者5人が不安そうにしていた。管理者からは連絡はないようだった。
  4. 避難所として開放された小学校とは違う学校(小学校、中学校)へ避難した方もいたが、訪ねた小学校は避難所にはなっていなかった。
  5. マンションの方々にも避難所開設を知らせましたが、反応は薄かった。
  6. 避難所はすぐに満員になり、避難所に滞在していた防災士が、区に対して別の避難所開設の要望をだした。

京都アニメーションは、何故大惨事になったのか?

34名もの犠牲者を出した京都アニメーションの火災。何故、これほどの惨事になったのでしょうか?

報道などから明らかになっている情報では、

建物の概要は、3階建て/延床面積700㎡程度/屋上に通じる区画された階段/1階から3階につながる螺旋階段

生存者の証言では、あっという間に、黒い煙が螺旋階段から建物中に広がったとのことです。

螺旋階段は、区画されていなかったので、煙の通り道になってしまったようです。建築基準法では、「防火区画」というのがあって、その中の一つに「竪穴区画」と言うのがあります。これは、上下階を結ぶ階段や吹き抜けがあった場合に、壁、扉やシヤッターなどで区画するというものです。

建物の用途や、竪穴の設置場所などにより緩和はあるのですが、今回の螺旋階段については、緩和の理由がありません。

なぜ、この螺旋階段が区画されていないのか?竪穴区画が建築基準法で規定化されたのは1967年ですので、この建物はそれ以降に建てられているとすれば、この螺旋階段は区画されていなければならないはずです。

京都固有の緩和規定があるとも思えません。考えられるのは、

・確認検査での判断ミス。

・完成後に改修があった

等、でしょうか?そうなると、、この惨事の原因は、放火だけではないかもしれません。

かなや設計 環境建築家 金谷直政