下町ドンツキの変形15坪に建つアパート

メゾン・ド・セゾン入口

東京の下町に計画していた、賃貸アパートが完成しました。今年の3月にはほぼ完成していたのですが、入口回りのドア、庇、サインなどの制作がようやく終わり、この度、竣工となりました。

今回の特徴は何といっても、その立地。東京の下町の中でも特に、狭い道路が入り組んだ地域のドンツキが今回の敷地です。ドンツキは突き当り道路で、通り抜けできない道路です。

ここの敷地まで来るのにも何度も曲がり、曲がりながら奥まった道路の一番奥。ドンツキの突き当りの右側が今回の敷地です。

敷地は、ドンツキの突き当りの脇

道路に面する家の軒先には洗濯もの、路上にはバイク、自転車、上を見上げると電線。道路とは言え4m幅の道路、4mは建築が可能な道路の最小の道路です。初めて、ここに踏み入れた印象は雑然とした感じでした。

敷地面積は、15坪の変形敷地で、依頼はアパートを建てたいということでした。もともと建築の資材置き場として貸していましたが、住宅メーカーからアパート経営を進められ検討していたのですが採算が合わないため、私たちに相談にいらっしゃいました。

住宅メーカーの提案は、木造2階建ての提案でしたが、私たちは鉄骨3階建ての提案をしました。住宅メーカーの提案は、変形敷地に四角い建物を提案していたため、どうしても無駄が多く、敷地を有効に活用できていなかったようです。

敷地を有効に活用する計画

私達の提案は、鉄骨造で、平面に斜めの壁を取り入れ、その斜めの壁は、内部のアクセントとなるよう壁紙に色をつけることにしました。こうすることで、2戸しか取れなかった貸室は3戸とすることができ、事業性も格段に高くなりました。

意外かもしれませんが、木造の2階建てと、鉄骨の3階建ての建築の坪単価はそれほど変わりません。むしろ、住宅メーカーの坪単価よりも安くなりました。

15坪の変形敷地に建ったアパート

外壁の色は、道路に面している部分の色をどうするかについて重点的に検討しました。様々な色を検討し、たどり着いたのは赤なのですが、真っ赤ではなく、少しピンクがかった赤。活力を感じる色でありながら、どぎつくなく、主張をしながら少し品を感じる色で、発注者様からも気に入っていただきました。

外壁の色の検討

また、入居者のターゲーットは若い女性をイメージしていましたので、楽しく、おしゃれな雰囲気になるよう色も含め全体のイメージを考えました。

暗闇に浮かび上がるサイン

かなや設計 環境建築家 金谷直政

京都アニメーションは何故大惨事になったのか?(その3)ロ準耐-2が原因?

34人もの犠牲者を出した。京都アニメーションの火災。前回は、建築基準法の趣旨の解釈を誤ったたではないか?と書きました。では、なぜ、趣旨の解約を誤るようなことが起こるのでしょうか?

これを読んでいらっしゃる方が、建築の専門の方であればわかるとは思いますが、一般の方に、建築基準法のややこしさというか?複雑なことはなかなか理解していただけないと思いますので、少し、建築基準法についてお話してみたいと思います。

建築基準法は、建築が安全であり、「国民の生命、健康及び財産の保護を図り、、、、」とあるように、安全であるように様々な基準が盛り込まれています。しかし、建物は安全性を高めるだけではなく、使いやすく快適性も求めらることから、安全性と快適性のバランスを取りながら設計をしています。

今回で言えば、火災が起きた時の危険から、生命を守るという部分がしっかり機能しなかったために多くの命が失われたことになります。

主要構造部が準耐火構造ではない「ロ準耐-2」

特に問題なのが建築基準法施行令112条9の条文にある「主要構造部を準耐火構造とし、、、、、、」と準耐火構造より燃えやすく? した場合には、竪穴区画を免除するような言い方になっていたことです。この条文を根拠にすると竪穴区画が免除できてしまいます。

ここで、ややこしいのが、この建物が「準耐火建築物」の性能を求められていたとしても「ロ準耐-2」という形式にしてしまうと、「主要構造部が準耐火構造ではない」「準耐火建築物」が可能になってしまうのです。

違法か、適法かで言えば適法ということになりますが、何故、この条文ではわざわざ、耐火性を下げた建物にすると竪穴区画を免除するというようなことを言っているのか、理解できません。

わかりやすく言うと、建物の構造を火に強いコンクリートにすると竪穴区画を設置しなければならないのに、コンクリートより火に弱い鉄にすると竪穴区画が不要になる。というようなことです。

条文では主要構造部を準耐火にしなければ、竪穴区画不要ということですから、例えば階段を鉄製のものから、木製にすれば、やはり竪穴区画が不要になってしまいます。

つまり、耐火性を下げると、避難設備を緩和できるという不思議な条文になってしまっているのです。誰かが意図してそうなっているのか、たまたま、条文の組みあ合わせで齟齬ができて、こんな抜け道のようなことになってしまっているのかわかりませんが、不思議です。

実際に、私自身、この条文を使い竪穴区画を免除し、オープンな空間を設計したことはありましたが、建物の性格を考え3層吹き抜けの階段には不安を感じ、自主的に区画の扉をつけました。

1982年にホテルニュージャパンというホテルで火災があり34名の方がなくなりました。この後、建築基準法だけでは安全性が確認できないということで、建物の種類と規模によっては、防災評定という方法で、専門家が、個別に安全性を確認するというプロセスが出来ました。その成果があってか、その後、一度火災によって大勢の死者がでることはなくなりました。

今回、たとえ適法ではあっても、総合的に見て、危険性を予見できる場合には、配慮があってしかるべきだったのではないかと思いました。ただ、むやみに厳しくするのでは、簡単でも、「煙の降下時間」と「避難時間」の比較をし、避難の安全性を確認できるような知見が、審査する側にも、設計する側にもあれば、このようなことにはならなかったのではないかと思います。

かなや設計 環境建築家 金谷直政

京都アニメーションは、何故大惨事になったのか?(その2)法の趣旨解釈の誤りかな

多くの報道やサイトでは、「今回の建物の違法性はない」というコメントが多いですが、その根拠は非常にあやふやです。3つの例を挙げると

■消防法上の違法性がないというコメントが多いようですが、建築の火災について、防火区画や排煙に関することは建築基準法です。テレビで「元東京消防庁の○口隆夫」という方が「法律違反はありません」と言っていましたが、これは消防法上のことに限ってだと思います。

■また、一般の方が、建物の避難ということで、建築基準法の「避難階段」の設置要件を調べて、避難階段の設置は5階縦以上の物件からと考えていますが、これは「避難階段」の設置要件であり、世の中の全ての階段が避難階段により避難するわけではありません。「避難階段」以外の階段でも安全に避難できるようにしなければならないのです。

■今回の、建築上の問題点は、「防火区画」の内「竪穴区画」(建築基準法施行令112条9)がしっかり確保されていなかったことです。

竪穴区画とは、ざっくり言うと、吹き抜けや階段などで上下階の空気がつながってしまうと、火災時の煙が全体に広がってしまうので、それを防ぐ区画が必要になるということです。

ですから、今回のような3層にまたがる階段の場合は、竪穴区画をつける必要があります。いくつかの緩和規定がありますが、今回はその緩和規定には当たりません。

今回は、この竪穴区画の条文の裏技的解釈により、竪穴区画が免除されていると推察します。

裏技的な解釈とは。この規模の建物だと建物の耐火性能は「準耐火建築物」以上にしなければなりません。しかし「準耐火建築物」の中に「ロ準耐-2」という構造があり、主要構造部を「準耐火構造」より脆弱にすることで竪穴区画を免除できることになる。という解釈が可能になるのです。

これは、知っている人は知っているという裏技的解釈で、一級建築士でも知らない方も多いと思います。

問題の条文は、「竪穴区画」を規定している建築基準法施工例112条9の冒頭で、「主要構造部を準耐火構造とし、かつ、地下又は3階以上の階に居室を有する建築…」とあり、この階段部分を区画せよということなのですが、「主要構造部を準耐火構造」にしなければ区画しなくても良い。と読めてしまいます。ですから、準耐火構造よりも脆弱な耐火性能、例えば不燃程度、にすれば竪穴区画が免除されるという不思議な解釈が導かれてしまうのです。

でも、これは全くおかしな話で、「耐火性を脆弱にすることで避難経路の安全性を低くすることができる」緩和っておかしくありませんか?通常緩和とは、何か他の安全性が確認できるから、条文で必要なものを免除できるとういうのが常識なのではないのでしょうか?

建築基準法のほとんどは仕様規定です。仕様規定とは「こういう場合にこのような措置をしておけば良い。」という取り決めであり、「これだけの火災に危険性があるから、これだけの措置が必要」というような根拠に基づいたものではないのです。

ですから、今回のような裏技てきな法解釈がまかり通り、このような惨事につながったのだと思います。

ただ、法は法なので、裏技とはいえ違法ではないのです。今回のような物件の場合に限らず、趣旨から考えるとおかしい場合などは、合理的な検討が必要と考えます。例えば「煙の降下時間>避難時間」という数式で検証し、避難の安全性を担保するような手順を踏む必要があるのかもしれません。

これが、複雑になりすぎるのは申請業務が冗長になるので歓迎できませんが、少なくとも、確認申請の窓口で対応している担当者(設計者も検査する側も)が、法の趣旨を考えて避難安全の原理を理解したやり取りが必須だと思います。

何故こんな危険な建築が存在していたのか?という疑問の答えは、建築の確認審査の段階で、条文の裏技的な解釈で適合しているし、安全性の趣旨を理解しなかったことが原因と思います。

かなや設計 環境建築家 金谷直政

下町の二世帯町工場とBCP対策

敷地は、東京の伝統的な下町地区墨田区北部。昭和の頃は、ものづくりの町として数千の事業所が町中に建っていた地域です

創業者夫婦と、その息子夫婦で営んでいる金属金型の工場の建て替えです。創業時から使っている建物は築50年を超える木造でした。

正面入口は、高さ3.2mの扉
外観 夜景

まずは、ライフプランの作成から始めました

町工場の建て替え時に考えるのは、何でしょうか?普通は、現在ある工場と同じ広さの工場スペースと二世帯それぞれの住宅の広さを確保した面積の建物の工事費を概算で算出し、その資金確保のため融資の相談を金融機関とすることでしょうか。

しかし、町工場の場合、事業と経営者の生活は深く結びつきあっています。工場の建て替えのために生じる返済金に利益を充てるために、給与を減らすことで、子供の学費が足りなくなるなんてことも起こりえます。

本計画では、経営者のライフプランをファイナンシャルプランナーが作り、工場の建て替えにかけられる金額を算出。その金額に合わせて建物の設計を進めました。言ってみれば、通常とは逆の方法で設計しています。

1階工場 柱のない空間 天井高さ3.2m

逆読みの工事費決定

通常だと、必要な広さの建物を計画し、その結果として工事費が決まりますが、今回は、ライフプランから考えて返却可能な金額に合わせて建物の計画をしています。

だからといって必要な広さが確保できないなんて事はありません。将来のライフプランの変化と、工事費の返済計画の間で調整をすることになります。

例えば、

今は、同居している子供部屋を、ちょっとした改修で、貸室にすることで家賃収入を得るとか、

同居の親世帯の住戸を将来、そのまま賃貸住宅として貸すことで家賃収入を得る。

等のことが可能です。こういったライフプランに対応する建物を設計しておけば、事業の継続、発展、承継が可能になってきます。

子世帯のLDK 右の小上がりと一体に利用
子世帯のLDK 小上がりと障子で仕切って利用

making

今回の工事で一番苦労したのは、施工者対応でした。最初に建物にかけられる費用を算出し、その範囲に収めるよう工事業者の選定をしたのですが、あるリスクがあります。

通常は、何度か施工をお願いした業者に相見積もりをお願いし、その中で安い業者に工事を発注しますが、今回は、もう一歩踏み込んで、安さ優先で業者を選定しました。

まずは、解体業者ですが、3社に見積をお願いし、一社は412万円、一社は245万円、もう一社は228万円でした。今回は、全体の工事費を極力抑える方針なので、当然228万円のところにお願いしましたが、ここが結構曲者でした。

お願いするときに気になったのが、社長が外国人、中東からの難民とのことでしだ。難民ということで苦労しているということで、むしろ、一生懸命に日本に溶け込もうとしている姿勢に好感をいだき、お願いしたのです。

ところが、実際に解体工事が始まってみると、基礎のコンクリートが想定以上なので、追加の工事費をもらいたいとゴネ始めました。これには正直、困惑しました。解体工事は、施主からの直接発注で契約してもらっているので、設計事務所の管理業務ではないのですが、自分の物件で起きている理不尽なトラブルを見過ごすわけにもいきません。

「この基礎は、通常の基礎に比べ特段頑丈なものではなく通常の解体工事の範囲内ですよね。」と元難民の外人に伝えるのですが、大きな声でまくしたて「建築士は信用できない!」などと言って、一向に納得しようとしないのです。でも、どんなにわめこうが、騒ごうが「駄目なものはダメ」と繰り返し伝えることで、最後には納得していましたが、これが、彼の手口なのかとも思ってしまいました。

日本では、下請けの業者や職人もこれほど激しく主張してくることは滅多にありませんが、外国の方は、無理なこともまず主張し、拒否されれば従う。という姿勢なのでしょうか?

建築の現場も、海外からの人材が多くなってきているので、こういった激しい主張に対しても「ダメなものはダメ!」とはっきり、きっぱりと伝えていかなければならないのでしょうね。

次に苦労したのは、鉄骨の業者です。この業者は新潟に本社がある業者ですが、建築全体の元受け業者の下請けの業者になります。そして実際の政策は更に下請けの福島の鉄工所でした。

この新潟の業者はホントひどかった!鉄骨の製作図をチェックして返しても、チェックした通りに訂正されない。トータルで8回も製作図をチェックしました。もう、自分で製作図を書いた方が早いくらいです。

鉄骨の工場検査に行くと、全ての部材がすべて揃っているはずが、長さを切りそろえた柱があるだけ。「製品はどこにあるんだ?」と聞いても、要領の得ない返答で、まったくらちがあきません。

こんなチグハグナことになった原因は、鉄骨の下請けなどやったことがないビルのメンテナンス会社が、わずかに経験のある人間を雇って、発注を任せたり、図面を外注に書かせたりしていたからでした。

実際に鉄骨を作る鉄工所と元受けの間に、現場を理解しない者が入り、情報が正しく伝わらないばかりか間違った訂正指示を出し、製作図の精度が下がるのである。延々と続く空しい伝言ゲーム。製造の両端が熟達していてもその中間に未経験者が入ってることの悲劇です。

程度は違うが、最近こういうことが多い。仕事が細分化され定型的なことであれば、マニュアル通りにやれば何とかこなせるるが、それらが複合化され、様々なものとのつながりが出てくるようなことに対して、全く応用が利かないようです。

対応する人間の能力が下がっているのか? 社会が複雑になっているのか? わかりませんが、一人ひとりの守備範囲が狭くなってきていると感じます。設計図面を理解し、製作図を作る人、製品を作る人との間をつなぐ接着部分をしっかり調整できる能力に欠けているのでしょうね。

ガッカリした製品検査(福島)
レベルに達した製品検査(福島)

かなや設計 環境建築家 金谷直政

下町ドンツキの家

路地の突き当たり12坪の敷地に建つ

ここは、東京の下町墨田区京島。都心の近くでありながら、木造の低層住宅が密集している地域です。

また、曲がりくねった道が特徴で、独特な景観を作り出しています。

歩いていると、猫が寝ていたり、子供が道路に線を引いて遊んでいたり、どこか懐かしく心地よい街ですが、都内有数の木密地域として震災時の危険性が話題になっている地域です。

そんなこともあり、本建物では、耐震等級3の強度で設計してあります。

1.5倍の耐震強度!

耐震等級3とは、建築基準法で必要とされる強度の1.5倍の強度になります。災害時には絶対に壊れてはいけない警察署や、消防署と同じ強度です。

それだけの強度にすると建設費も高くなると思いがちですが、実は、通常の建物とあまり変わりませんでした。耐震性を高くするとフラット35の金利が安くなるのでトータルではむしろ徳なくらいでした。

そんな、典型的な東京の下町にあった古い木造の家の建て替えの相談を受けました。

2階LDK 光を取り入れる高窓はキャットウォークになっている
2階LDK見返し キャットウォークにつながる段々の棚は、猫の階段
階段、棚、手摺はシラカバ合板

かなや設計 環境建築家 金谷直政

断熱材は危ない?

昨年(2018年)、東京都多摩市のビル建設現場で、火災があり、作業員5人が死亡しました。施工者は「安藤ハザマ」という準大手ゼネコンです。準大手とは、大手5社の次ということになるので、ゼネコンとしても大きいほうです。

原因は、
「ビルの地下3階でガスバーナーを使って鉄骨を解体する際、火災を防ぐために燃えやすいウレタンを階下から除去して不燃材を火元周辺に置いたり、消火器を適切に配置したりするなどの安全管理対策を怠った疑いが持たれている。現場責任者は作業の危険性を認識していたにもかかわらず、指導監督を怠っていた。[産経新聞]」

この火災は、死者が5名にも及んだことからマスコミでも大々的に取り上げられ建設業界にかなり衝撃が走っていました。安藤ハザマの社員をはじめ、下請けの作業員の計6名が書類送検されました。

ここで使われた断熱材は、発砲ウレタンという断熱材で、一旦火が付くと激しく燃える性質があります。私も以前、試しに火をつけてみたことがあるが、パチパチと音を立て花火のように燃えたのを覚えています。

こういうことがあると、発砲ウレタンを使うことがはばかられますが、値段の割に断熱性能が高いことと、隙間なく断熱を吹くことで、気密性を高めることができるとても使い勝手と、性能が良い素材なのです。しかし、施工段階での防火管理に注意が必要なのです。

この発砲ウレタンに断熱材に押出法ポリスチレンフォームというのがあります。一般的にはスタイロフォームと言われている水色のボード状の断熱材です。これも断熱性は良くて、値段は発砲ウレタンより安くて良い断熱材です。

ややこしいのが、今回問題となった発砲ウレタンと 押出法ポリスチレンフォームは樹脂系断熱材と言われるため、 混同して考えられることが多いのです。

スタイロフォームは、発砲ウレタンのように激しく燃えることはなく、火を近づければ溶けるように燃えるが、火元がなくなれば消えるのです。製造元のダウ化工によれば、「JIS規格でいう難燃性では、火を遠ざけて3秒以内に火が消えるという性能にはなっている。」といことです。

ただし、「難燃性はあるが、建築基準法でいう難燃性、不燃性は無い。」とのこと、

また「建築、基準法でいう、難燃性や不燃性は、一定の時間火炎をあびせたあと変形があってはならないことになっているので、火を近づけて溶けてしまうスタイロフォームは適合しない。」ということです。

スタイロフォームの難燃性を試してみました。何度も火をつけても火を遠ざけると火が消える様子がわかると思います。

スタイロフォームの難燃性

省エネルギーになり、室内の快適性を確保する断熱材。その性質を正しく理解し、場合によってはリスクを理解し、正しく使いたいですね。

かなや設計 環境建築家 金谷直政

設計料無料ということ

環境建築家の金谷です。

東京の下町、墨田区京島で設計事務所をやっています。所員が数名と、ネコがいるこじんまりとした設計事務所です。

最近、アパートの施工不良が巷をにぎわせています。一つはレオパレス21の界壁が無い共同住宅。もう一つは大和ハウスの共同住宅の外部廊下の柱部分の認定不適合です。

レオパレスについては、壁が薄くて音がまる聞こえという話は以前から良く聞いていたので、「やっぱりね~、そだねー」って感じです。隣の住戸との間の界壁が不十分だと、やはり音は良く聞こえてしまいます。レオパレスあるあるですが、宅配便が玄関のチャイムを鳴らすと、同じ階の住民が一斉に、玄関のドアを開ける。という笑い話も聞きますが、本当だとしたら笑い事ではありませんね。

一方、大和ハウスについては、歴史もありますし、あくまでもイメージですが、コンプライアンスもしっかりしていそうで、まさか、そんなことが起こるとは思いませんでした。

また、施工不良ではありませんが、積水ハウスの浜松支店でも、2009年に、確認申請書の副本を偽造したという事件がありました。

なぜ、こんなことがおこるのでしょうか?表題にも書きましたが、このいずれの事例も発注者に対して「設計料が無料」もしくは、非常に安く示されています。それが、どういう事かというと、発注者の立場に立って、建物の出来を確認する専門家が居ないということです。

いづれの場合も、会社という組織が主体となり、技術者を雇い、会社の方針の元、技術者に対して指示しコントロールしています。そういった雇用関係では、本来、施工の間違いを正すべき設計者が、自分の役割をまっとうすることができるのでしょうか?

言いたくは有りませんが、会社の利益に背いて不正を正す設計者は、社内では「技術者は融通が利かない!」「仕事を取ってきているのは営業なのに、エラそうなことを言うな!」と言われることは想像に難くありません。

ですから、法律では、建物を作る際には、施工者と設計者を明確に分け、建築士という資格を設けているのです。設計料無料の住宅メーカーや不動産業社などの会社は、社内での設計技術者の発言力が弱いということに他なりません。

建物の安全を確認するべき設計者が、専門外の上司や営業職に遠慮しながら設計・監理をしているような建物は、例えるなら、薬局が内科医を雇って大量の処方箋を出して利益を上げるようなものです。

イメージして下さい。巨大な薬局が経営している病院!そこでは内科医を雇っています。内科医は一生安泰な職場と高額な報酬が得られ、さらに定時にきっちり変えることが出来るので、気に入って勤めています。病院の医院長は医者ではなく薬局の社長です。

「診察料は無料」のこんな病院、あなたは信用できますか?いっぱい処方箋を出してくれます。それは、薬局が儲かるから。そんな病院に行ってみたいですか?

もちろん、こんな病院はありません。今は、基本的に医薬分業で、病院と薬局は別の法人が経営する必要があります。利益を上げようとする経営者と真摯に医学という真理を行う医者は、独立した立場にあります。医療の世界では当然なことが、建築の世界では、曖昧になっています。

むしろ、利益を最優先する住宅メーカーや不動産会社の方が、CM等を通して、私たちにアピールしてきて、イメージUPに努めてきているのです。

設計料無料に払う代償は大きいと思います。

施工者とは別の立場で行う現場監理

tatami畳のある空間コンペティション 優秀賞

昨年(2016年)、竣工した葡萄の長屋が、「畳のある空間コンペティション」において、準優秀賞をいただきました。

敷地面積9.8坪と、10坪にも満たない狭い敷地の中に最大限の室内空間を確保し、更に、床を浮かせることで、室内の広がりを感じることができるようにと、小上がりを天井から吊って床の広がりを強調してみました。

吊っているのはスチールのムクの棒材ですが、晒竹の中に隠れるようにしています。竹で吊っているように見えることで浮遊感を出しています。

四枚の正方形の畳の上で、そのまま寝転んだり、座ってゲームをしたり、背もたれに寄りかかり読書をしたり、また、畳の上に布団を敷いてねたりと、多様な使い方が可能なスペースになっています。

小上がり
竹で吊った畳の小上がり