断熱材は危ない?

昨年(2018年)、東京都多摩市のビル建設現場で、火災があり、作業員5人が死亡しました。施工者は「安藤ハザマ」という準大手ゼネコンです。準大手とは、大手5社の次ということになるので、ゼネコンとしても大きいほうです。

原因は、
「ビルの地下3階でガスバーナーを使って鉄骨を解体する際、火災を防ぐために燃えやすいウレタンを階下から除去して不燃材を火元周辺に置いたり、消火器を適切に配置したりするなどの安全管理対策を怠った疑いが持たれている。現場責任者は作業の危険性を認識していたにもかかわらず、指導監督を怠っていた。[産経新聞]」

この火災は、死者が5名にも及んだことからマスコミでも大々的に取り上げられ建設業界にかなり衝撃が走っていました。安藤ハザマの社員をはじめ、下請けの作業員の計6名が書類送検されました。

ここで使われた断熱材は、発砲ウレタンという断熱材で、一旦火が付くと激しく燃える性質があります。私も以前、試しに火をつけてみたことがあるが、パチパチと音を立て花火のように燃えたのを覚えています。

こういうことがあると、発砲ウレタンを使うことがはばかられますが、値段の割に断熱性能が高いことと、隙間なく断熱を吹くことで、気密性を高めることができるとても使い勝手と、性能が良い素材なのです。しかし、施工段階での防火管理に注意が必要なのです。

この発砲ウレタンに断熱材に押出法ポリスチレンフォームというのがあります。一般的にはスタイロフォームと言われている水色のボード状の断熱材です。これも断熱性は良くて、値段は発砲ウレタンより安くて良い断熱材です。

ややこしいのが、今回問題となった発砲ウレタンと 押出法ポリスチレンフォームは樹脂系断熱材と言われるため、 混同して考えられることが多いのです。

スタイロフォームは、発砲ウレタンのように激しく燃えることはなく、火を近づければ溶けるように燃えるが、火元がなくなれば消えるのです。製造元のダウ化工によれば、「JIS規格でいう難燃性では、火を遠ざけて3秒以内に火が消えるという性能にはなっている。」といことです。

ただし、「難燃性はあるが、建築基準法でいう難燃性、不燃性は無い。」とのこと、

また「建築、基準法でいう、難燃性や不燃性は、一定の時間火炎をあびせたあと変形があってはならないことになっているので、火を近づけて溶けてしまうスタイロフォームは適合しない。」ということです。

スタイロフォームの難燃性を試してみました。何度も火をつけても火を遠ざけると火が消える様子がわかると思います。

スタイロフォームの難燃性

省エネルギーになり、室内の快適性を確保する断熱材。その性質を正しく理解し、場合によってはリスクを理解し、正しく使いたいですね。

かなや設計 環境建築家 金谷直政