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建築知識

1.部屋の気温と快適感
2.既存建物の耐震性に注意
3.オール電化って原子力発電所に優しいんだね。それってどうなの?
4.囲炉裏の心地よさ
5.損な省エネ
6.壁を暖めると快適に!?
7.結露の理由と対策 その1


部屋の気温と快適感

室内環境の基本。温かい、寒いについてお話します。温かいとか寒いとかは何で決まると思いますか?
冬の場合でお話します。一般的に知られているのは、温度です。温度が高いと暑い、低いと寒いというのは、誰もが知っている事です。しかし、人の快適は、温度だけできまるわけではありません。
人の快適感に影響を与えるものは、「温度」「湿度」「平均輻射温度」「気流」「着衣量」「代謝」の6つの要素で決まります。
例えば「気流」について考えてみると。同じ温度でも、夏に扇風機をつけると涼しい。逆に冬の隙間風は不快です。
また、「平均輻射温度」では、夏の車の中でエアコンでガンガン冷やしても不快感を感じると思いますが、コレは、車の天井が太陽で熱せられ輻射温度が高くなっている事が考えられます。
ですから、快適な環境のためには、「気温」だけではなく、6つの要素への配慮が必要なのです。特に、「平均輻射温度」については、断熱や、窓の性能によって大きく違いが出てきます。この辺の性能を確保した建物では、クールビズでいわれている28℃の冷房でも十分快適に暮らすことも可能になります。
(2010.6.12)


既存建物の耐震性に注意

建物は、どれだけ安全にできているのでしょうか?
一つの目安として、その建物の建設年次を調べるとわかります。建築基準法の耐震性に関する法規は、大きく2回改正されています。
 ・1971年(昭和46年)6月17日施行
 ・1981年(昭和56年)6月1日施行
です。現在の耐震基準は「新耐震(しんたいしん)」と言われ、1981年からほとんど変わっていません。そして、この新耐震に適合した建物は、1995年の阪神淡路大震災でも、今回(2011年)の東日本大震災でも、その安全性が確認されています。
ですから、1981年以降にできた建物は、おおむね安全と言って良いわけです。正確には、1981年6月1日以降に確認申請を出した建物が安全ということになります。しかし、1981年前にできた建物が全て危険というわけではありません。耐震診断して安全性を確認した建物であれば、一応安全なことになっています。
ですから、建物を買ったり、借りたりする際は、この辺りの事を不動産屋さんにきっちりと確認して見ると良いでしょう。
不動産屋さんの義務である「重要説明事項」として、建物の耐震性についてしっかり説明をすることになっています。

しかし、ここからが問題です。私自身、体験して驚いた事例で説明します。
これらの事がしっかり守られているのか?また、一般の売買ではどのように取り扱われているのかを確認するために、5年程前、自分が借りて住んでいたマンションの一室が売りに出されていたので、不動産屋さんに聞いてみました。ちなみに、このマンションは区の補助金をもらい耐震診断をし、基準の半分以下の耐震性しかないことはわかっていました。
「このマンションは耐震性は大丈夫ですか?(金谷)」
「@鉄筋コンクリートなので、大丈夫ですよ(不動産屋さん)」(即答です。普通の人ならここで、安全って思ってしまうのではないでしょうか?)
「でも、耐震診断とかしているかどうか、管理人さんに聞いてみてもらえますか・(金谷)」(食い下がってみました)
「判りました(不動産屋さん)」(ちょっと不満げでした)
後日連絡が来て
「A管理人さんに聞いたのですが、耐震診断をして大丈夫だったとのことですよ(不動産屋)」
「そうですか。では、その資料を見せてもらいたいのですが、よろしいですか?(金谷)」
「判りました(不動産屋さん)」(その後、不動産屋からは返事がありませんでした。)
B耐震診断の結果を見て安全性を確認してから、物件の購入、または賃貸契約となります。
上の@、Aの不動産屋のごまかしをかわし、Bまで、確認できて初めて安全性の確認ができます。はたして、一般の方がこのプロセスを踏むことができるでしょうか?心配です。

ちょっと寒気のする話です。
世の中ってこんなにいい加減なものなのかと思いました。
実は、似たような対応が、あちこちでなされているのを経験しました。
実際に、地震が来て、がれきの下敷きになってから、「あの時の不動産屋、だましたな」と思うのでしょうか?
それとも、大破しないまでも、中破程度で、不良資産となって、住めない、売れないマンションのローンを払い続けるのか?
いづれにしても、とんでもない話です。
(2011.6.12)

参考URL
 国交省 マンションの耐震性についてのQ&Aについて
 耐震基準 Wikipedia



オール電化って、原子力発電所に優しいんだね。それってどうなの?

省エネって、省エネルギーを略した言葉で、その意味するところは、エネルギーを省くこと。なぜエネルギーを省く必要があるのでしょうか?
建築の場合は、
 1.理想は、使うエネルギーの量を減らして、持続可能な世の中を実現したい。
 2.そして、CO2発生を減らして地球温暖化を防ぎたい。
 3.本音は、光熱費を安くしたい。
等の目的で省エネを考えているのだと思います。しかし、同じ省エネと言われている設備機器でも、目的が違ってきます。

まず、
・省エネで、コストが高い。ものがあります。
住宅の省エネ設備では、「太陽光発電」、家庭用燃料電池「エネファーム」、等が代表的なものでしょうか?
車で言えばプリウスなどのハイブリッド車は、省エネですが導入コストは高いです。
でも、約30万円高いとしても、30万円/140円=2,142Lのガソリンに相当する分だけ高いのでハイブリッド車と普通の車の燃費差が10km/Lだとすると、2,142×10=21,420km走ると元が取れます。これなら導入コストは高いですが、維持費が抑えられるので、長い目で見れば省コストと言えそうです。

逆に
・コストが安いが、省エネにはならない。ものがあります。
深夜電力を使ってお湯を作り、光熱費を削減する「エコキュート」などが、これに当たります。
エコキュートは、東電などの電気会社が、原子力発電所が発電する深夜の余剰電力を有効利用するため政策的に電気代を半分以下にしているので省コストになります。消費するエネルギーを省いているわけではないので、本来ならば省エネとは言えない設備なのかもしれません。

地球に優しいという言葉がありますが、オール電化は原子力発電所に優しい言えそうです。
(2011.7.13)


囲炉裏の心地よさ


地方の温泉に行った時、入口から入ってスグ横のところに囲炉裏がありました。囲炉裏は、日本の家屋に古くからある暖房設備で、本州では古くから使われていました。北海道ではアイヌ民族のチセで似たようなものを見たことがあります。暖房器具であると共に小屋組みから吊られた自在鉤(じざいかぎ)に南部鉄と思われる鉄瓶(てつびん)が下げられていて、場合によっては鍋なども掛けられ厨房設備としての機能も有しています。ちなみに南部鉄の鉄瓶で沸かしたお湯で飲んだお茶は「柔らかい味がしておいしい」そうです。

囲炉裏を暖房設備として考えると面白い。薪に灯された炎は、空間に解放されており、開放式の暖房となっています。熱伝導のプロセスは、炎からの自然対流と、放射による暖房です。自然の対流成分による伝熱は、排気とともに小屋組から外部に排出されてしまうので、対流成分による暖房効果はあまり期待できません。したがって主に放射による暖房器具ということになります。

放射は、熱伝導の一つのプロセスであり、高温の部分から空気を通してダイレクトに熱が伝わる心地の良い熱伝導プロセスとして、現代の暖房設備でも使われています。たとえば床暖房、壁冷暖房のような放射式冷暖房がそうです。特徴は、温風がないので、ホコリの舞い上げが無い、エアコン等の強制的な対流に比べ心地よく、部屋の上下の温度差が無いことでしょうか。
ただ、囲炉裏の場合は、放射が炎を中心に周囲に向かってなされるだけなので、炎に向かっている部分は快適なのだが、背中は寒い。また、炎から離れれば離れるほど放射のエネルギーが距離の3乗に反比例して減るので急速に寒くなります。

しかし、そういったことは理屈としては分かりますが、うっすらと寒い中での心地良い暖かさの快適感は得も言われぬ心地よさを感じるます。現在の環境工学では解析できているのかどうかわからないが、以前読んだ本のなかで、今までの工学的な快適感とはちょっと違うプレザントネスという感覚を研究している話を読んだことがあります。プレザントネスについては、また別の機会に考えてみたいと思います。
(2011.10.29)


損をする省エネ

省エネと聞くと、エネルギーを省く(はぶく)ので、光熱費が減って得をするものだと思いまよね。でも何もしないよりも損をしていることがあります。実は、そういう事例は非常に多いと思います。

例えば、太陽光発電は損な場合が多いと思います。
無限に降り注ぐ太陽の光が電気を作ってくれるので電気代が安くなる。ここまでは正しいです。しかし、その太陽光発電パネルの値段は幾らなのでしょう?
太陽光発電パネルの値段は、最近は相当安くなってきました。5年程前までは、発電量1kw当たり60万円でしたが、今は、30万円を切るものも出てきています。しかも、補助金がスゴイ!今のところ 国が4.8万円/kw、東京都が10万円/kw、区(墨田区)が10万円/kw出るとのこと。また、発電した電力は東京電力が、42円/kwで買ってくれます。この条件ならば設置したコストを9年で回収できます。投資した分が9年で回収できれば、かなり良い条件だと思います。

しかし実際はどうなのでしょうか?まず、補助金ですが墨田区の補助金は他の自治体よりもかなり高くなっています。もっと広い屋根のある武蔵野市などでは3万円/kw、八王子市においては1件当たりの上限が10万円です。つまり土地が狭く屋根に設置するのが困難な墨田区のような所に苦労して設置できれば、机上の計算上何とか「得」ですが、実際には狭いところに設置する場合には、余計な工事費がかかったり、マンションの日陰になり(スカイツリーの影でさえ発電効率が大きく下がるタイプの太陽光発電もあります) (^_^; 発電効率が落ちることを考えると「得」になるのはごく限定的な条件での場合だと思います?

しかし、世は省エネブーム。自然エネルギーを使いさえすれば社会貢献しているような雰囲気が蔓延しているせいか。損得抜きで導入するケースが多くなっています。頭を冷やして計算してみれば、あまり「得」では無くむしろ「損」をしているかもしれません。
省エネ機器の導入の際には、掛けたコストと回収するコストをしっかり確認する必要があります。そのためにはLCC(ライフサイクルコスト)を考えることが必要です。LCCについてはまた今度。
(2012.3.26)


6.壁を暖めると快適に!?

暖房というと室温(部屋の気温)を暖めることばかり考えがちですが、室温を高くしても快適になりません。
実は、壁を暖めると、もっともっと快適になります。壁冷暖房は暖房の時、壁を暖めます。
壁を暖めるとなぜ快適なのでしょう?


温めている壁面は27°になっています。


外壁側の壁面は20.9°になっています。こちらはほぼ室温と同じです。

快適感は「気温」「湿度」「気流」「平均放射(輻射)温度」「代謝量」「着衣量」の6要素で決まると言われています。これらの内、前の4要素は建築側で決まります。一般的に重要と思われている「気温」は快適感を決める要素の1つに過ぎないのです。
暖房時は「気温」と「湿度」が低く、「気流」が早く、「平均放射(輻射)温度」が低いと不快に感じます。
エアコンで暖房をした場合、室温を上げれば上げるほど「湿度」が下がり「気流」が増すため不快に感じます。
一方、壁冷暖房で暖房をした場合、「湿度」が高く「気流」がほぼ無く「平均放射(輻射)温度」が高いので、エアコンよりも圧倒的に快適なのです。しかも、こういった環境は、高齢者のような弱者にとっては体調を崩しにくく安全な環境でもあります。
(2012.3.26)

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7.結露の理由と対策 その1



この冬も結露に悩まされた人は多かったのではないかと思います。写真は、窓枠の温度が10℃で結露している様子。結露は、箪笥の裏や、窓枠、押入れの中など他より表面温度が低い箇所に起きますその部屋の温度と湿度がわかれば「湿り空気線図」から、結露が起きる表面温度がわかります。同じ室温でも湿度が高いと結露が起きやすくなります。特にガスストーブを使う場合は換気をして室内に発生した水蒸気を外に捨てなければ湿度が高くなってしまいます。ガスストーブを使って結露に悩まされている方は、
・暖房は、ガスでは無くエアコンや輻射暖房を使う。
・換気をしっかりする。
・壁や窓の断熱をしっかりする。
・湿度計を設置して、湿度が50%を超えないように気をつける。
等の対策が有効です。
(2012.3.30)

8.償却資産の算定について
建物を建てた時、税理士の方から、「償却資産の届け出を都税事務所にします。」と言われました。
「償却資産の届出?」って何?
なんだかよくわかりませんが、どうも、新たに建物を建てると、届け出ることになっているらしいのです。
「償却」って言葉から連想するのは「減価償却」しか思い浮かばないので、税理士先生から「備品を償却資産として届ける」と言われ、原価償却の建築と設備の償却期間が違うので、その設備の部分を言っているのかな?と思って、税理士先生と話していると、「ユニットバスは償却資産なんですよ。」とのこと。
ユニットバスと建築物と扱いが違う意味が全く理解できないこともあり、東京都税事務所に直接電話をして話を聞いてみました。

イロイロとわかり易く教えてくれて、ようやく、分かったことは。
・償却資産は、10万円以上の資産の合計が150万円を超える場合に都税事務所に届ける必要がある。
・建築物と一体となっている部分は「償却資産」ではなく「家屋資産」ユとなる。したがってニットバスは償却資産ではない。
・建物の外側の配管(給水、排水、ガス等)は償却資産になる。
・外溝は償却資産になる。
・壁掛け式のエアコンは償却資産の対象だが、10万円以下は対象とならない。
等々の事がわかりました。
結局、一つの家位だと、償却資産として150万円にならないことが多いとのこと。門扉があり、立派な塀や庭があり、トータルで明らかに150万円を超える場合は届け出を行う必要があるとのこと。
税理士先生って、意外にいい加減なんだなと思いました。



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